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土田 宏治 函館ラ・サール高等学校
今回の研修の感想を一言で言えば「実にすばらしかった」ということです。準備してくださった研修室の皆様には深く感謝したいと思います。本当にありがとうございました。貴海洋科学技術センターを見学させていただき特に感じたことは、いろいろな分野の一流の技術者・科学者たちが互いの専門を生かしながら力を合わせ、世界の最先端の仕事をなさっているということです。それぞれの方が実に生き生きとして感じられました。今後もより一層のご活躍を期待しています。
さて、一高校教師として「最近の学生の理科系離れ」(もっともこれは理学部について特に顕著に現れており、工学部については多少で、他の理科系学部については特に変化はないと思います。逆に医学部に関しては志願者が激増しています)について意見を書かせてもらいますと、確かに現行の教育課程にも問題はあります。
「ゆとり」ばかりを強調するあまり、学校が「レジャーセンター」化しているということです。特に理科科目についてのレベル低下はすさまじいとしか言いようがありません。しかし、もっと根本的に何かがあるようです。どうもそれは、マスコミの影響かもしれません。例えばバブル時代に経済学部商学部が軒並み志願者が増大し難しくなったことに象徴されています。彼らは、丁度卒業の時になってバブルが崩壊し、就職難という煮え湯を飲まされたことは周知の通りです。さらに過去を振り返って見ますと、高度成長期時代に、新幹線・高速道路・超高層ビル等の建設風景がテレビ画面を賑わせました。その結果、今とは逆に何が何でも理科系でなければという風潮になりました。その後、石油危機をきっかけに構造不況でやはり就職難となったことも良く知られています。どうも、私もそうでしたが、マスコミに振り回されているというのが実情のようです。昨今の新聞のテレビ欄を見ますと、科学技術関係の番組の少なさには、大変がっかりさせられます。
では、どうしたらよいのかということになります。実は、本校には「先端技術研究会」というクラブがあります。「参加希望動機」にも書きましたが、「論より証拠」をクラブの最大方針としています。ようは、いくら高尚な議論をしたところで、「一見」にはかなわないということです。先日も北海道電力に招待されて泊原子力発電所を見学させてもらいましたが、やはり第一線で活躍されている方々のお話は迫力があり、説得力があるものです。普段、閉じそうなまぶたを必死に開けながら授業を聞いている彼らが実に生き生きと真剣に説明を聞き、積極的に質問をし、いろいろな機器を見ていました。帰りのバスのなかでは「俺もあそこで仕事をしたいな」という話し声が聞こえました。ただ、問題は特に北海道の場合、どこに行くにも離れており、高校生の見学旅行としては一回一回に多額の費用が掛かり、ほとんど不可能ということです。泊原子力発電所についても、たまたま電力会社に大学の先輩がいて、交通費などの費用をすべて会社負担にしていただいたから実施できたようなものです。
さて、今回マリンサイエンス・スクールに参加させていただき、「百聞は一見にしかず」を身を持って体験させていただきました。「生徒を育てるにはまず教師から」という方針には感服しました。ここまで、親切なお世話をしていただいた上は、この度の体験を本校の一人でも多くの生徒に伝えることが私の責務であると自覚しています。本校では毎年12月に文化週間という行事があり、各クラブの活動発表の場となっています。今年は「海洋」をテーマの一つに加え、研究し、発表させよ

 

 

 

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